女性の生き様、友情がとても良かったです。
清越坊の女たち~当家主母~(2021 全35話 原題:当家主母)
(キャスト)ジアン・チンチン、ヤン・ロン、マオ・ズージュン、シュー・ハイチャオ、他
《清越坊の女たち~当家主母~》あらすじ
清朝 乾隆(けんりゅう)年間。伝統的な織物・緙絲(こくし)の制作に励む任(じん)家の沈翠喜(しんすいき)は江南きっての織物工房・清越坊の女将だった。
ある日。沈翠喜の夫である任雪堂(じんせつどう)と相思相愛の幼馴染・曽宝琴(そほうきん)は仲睦まじく部屋で過ごしていた。沈翠喜はそこに押し入り、曽宝琴の頬を叩く。止める夫に「学友と会うはずでは?」と激怒する。
曽宝琴はひざまずき「私は卑しい女にすぎません。お願いです。雪堂の侍女として置いてください」と頼む。「自分が侍女にふさわしいとでも?行院にいた楽戸(がくこ:官妓)など任家には入れられない」冷たく言い放つ沈翠喜の頬を叩こうとする任雪堂だったが手を止める。「私を殴るの?この女のため?」「知ってるだろ。宝琴は高官の娘。行院にいたのはやむを得なかったからだ」
沈翠喜は【行院の女がそばにいては官吏である任雪堂が法的に処罰される。任家が破滅させられる】と責め続ける。曽宝琴はハサミを取り「旦那様。一目会うために生きてきた。あなたが息災なら私は死んでも悔いはない」と言って自らの首に振り下ろそうとするが、沈翠喜は彼女を突き飛ばし、ハサミは床に落ちる。「ここで死ねば旦那様の罪になるのよ」沈翠喜は再度怒る。
その後、沈翠喜は夫を屋敷へ連れ帰る。任雪堂は【昔馴染みで特別なんだ】と曽宝琴のことを話す。「あの女が生涯の伴侶なら私は一体何?蘇州の笑いもの?」「宝琴には私だけだ。宝琴は任家に入れる。君が改めないなら女主人はもうやめろ」任雪堂はこう言い放ち…。
ネタバレなし感想
最初は、このドラマで視聴意欲がわくキャストはマオ・ズージュンだけだったし(他の俳優はあまり知らなかった)マオ・ズージュンはなかなか出てこないし、見続けられるかな?私好みではなさそうと思っていました。でもワタシ的に嬉しい誤算で、どんどん期待を超える面白さになりました。
登場人物たちの生き様がとてもよく描かれているなと思いました。心の変化や成長、葛藤などがありながら、女性が自立して強く生きていく姿が素晴らしくて感動しました。
恋愛模様もメインキャストだけでなく脇役(侍女など)も描かれていて、それぞれ良かったです。
ネタバレあり感想・前半
※ネタバレしています。ご注意ください。
出だし、沈翠喜は顔が冷徹で無表情だし、曽宝琴を叩いたり、なんとも怖い女将といった感じで、私はこの女主人公に感情移入できるのかな?と不安になりました。(言動は理解できたけど)。でも任雪堂が死んだ後、魏良弓と出会い、愛を知った彼女が変化していく様はとても見応えあったし、感情移入することが出来ました。
「なぜ男は後妻を娶れるのに女は貞節を求められるの?独りでいるよりも道徳に背くほうが難しい。人は草木ではない。女も男と同様に血が通っているし感情がある。あなたが殺した心はあの人が生き返らせてくれた」沈翠喜が魏良弓に惹かれつつも、彼への想いを抑える姿は切なくて心に響きました。
魏良弓はこの冬を越せない体だと言われ…。沈翠喜は「魏良弓に会いに行ってほしい」と曽宝琴に頼まれ、罠かと疑うけど信じて会いに行くことに。このへん女二人の感情のわだかまりがとけていく感じが良かったです。夢かと言う魏良弓に「あなたと生涯で一度の夢を見たい」と返す沈翠喜。やっと愛する人に出会えたのに魏良弓の命がわずかなんて…。切なすぎました(涙)。「あなた以外何もいらない。命さえも」こう言った沈翠喜。こんなに愛に熱い女性だったのかと驚きました。
魏良弓は春まで生きたけど亡くなってしまい…。「素晴らしい夢だった。ただ良い夢は長く続かない」沈翠喜が一緒に飲んでいた曽宝琴に言うと「命は天から与えられたもの。その長さは自分で決められないの」と曽宝琴は返し…。私はこういう考え方もあるんだとハッとさせられました。そして「死んでしまった」と泣く沈翠喜に私も涙でした。「元気を出して。しっかり生きるの」励ます曽宝琴の姿にも感動。二人の間にこんな友情が芽生えるなんて本当に思っていなかったです。疲れている沈翠喜の肩を曽宝琴がもんであげたり。とても素敵で良い関係になったと感慨深かったです。
ネタバレあり感想・後半
任如風と舒芳の結婚式のさなか、如風は連行され【任雪堂の殺害】を海賊に依頼したと無実の罪で囚われ…。沈翠喜と密通してたからその旦那を殺したとか、とんでもない難癖つけられて如風や沈翠喜が拷問されるのが怖すぎました。「名節を汚す女子は命を絶つべきと言うなか、私は生きます。汚名を着せた者がどう落ちぶれるか見届けます」と叫んだ沈翠喜の鬼気迫った表情は凄かったです。
清越坊に当主がいなくなり、曽宝琴が(死んだ)雪堂に嫁ぐと言って、清越坊をどうにか守ろうとする姿も良かったです。沈翠喜の打ち首の執行現場で、関係者や観衆が「天地にかけて無罪を証明する」とひざまずいて言い出したのは感動しました。そしてその場に現れた任雪堂。やっぱり生きてた!!!と興奮。呆然としながら夫・雪堂を叩きまくる沈翠喜の姿は、実際こういうことが起こったときの反応ってこうなのかも…と感じました。
雪堂が帰ってきて微妙な関係になりそうなのに「永遠に親友よ」と曽宝琴は沈翠喜に言い…。妻と妾の間柄なのに信頼関係が生まれ、友情が生まれ、本当に凄い素敵な関係でした。序盤、沈翠喜は憎しみの絶頂で曽宝琴を屋敷に閉じ込めていた時も命を助けるための扉(逃げ道)を作ってくれていたと曽宝琴は話していましたね。逃げ道を作らなかった李照との人間的な差が後の人生の差にもつながるんだなと思いました。
沈翠喜は思うままに生きたい、自分のために離縁したいと夫に訴え、了承され、新しい刺繍工房を開くのも素晴らしかったです。刺繍の腕を磨き、女子が自立する手段を持つことで男に酷い扱いされないようになるという考え方は現代に通じるなと思いました。
そして、沈翠喜は自分を陥れた男の娘・幺娘が行院に行かされたのを助けたのも素晴らしかったです。思えばこれは曽宝琴と同じような境遇で(曽宝琴も身分は高かったけど親が陥れられて落ちぶれて官妓にされた)曽宝琴と重ねた部分もあったのかな?そう考えるといっそう感動的で、とても良いドラマだったなとしみじみ感じました。
キャスト紹介
沈翠喜:ジアン・チンチン
1975年9月3日重慶市南岸区生まれ A型 身長166cm 体重47kg 北京電影学院表演科卒業
(出演ドラマ)九州·海上牧云记(海上牧雲記 ~3つの予言と王朝の謎』)、他
曽宝琴:ヤン・ロン
1981年6月3日雲南省保山市生まれ O型 身長161cm 体重45kg 上海戯劇学院卒業
(出演ドラマ)护心、三体、玉楼春(玉楼春~君に詠むロマンス~)、他
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