苦難の連続の主人公たちに涙。何度もひっくり返る展開にハラハラ驚愕するドラマでした。
鶴唳華亭<かくれいかてい>~Legend of Love~(2019年 BS版全57話 原題:鹤唳华亭)
(キャスト)ルオ・ジン、リー・イートン、ジェン・イェチョン、ジン・ハン、他
※1話あらすじとキャスト紹介はこちら。
※《外伝~別雲間~》のあらすじと感想はこちら。
ネタバレなし感想
感情を動かされるドラマでした。次から次へと男主役とヒロインに苦難や理不尽な出来事が起こるので、私は腹が立ったり悲しくなったりしんどくなったりしました。
どんでん返しの展開がけっこう多かったかな。最初の頃は私は純粋にそのどんでん返しに驚き、楽しんでいました。その後、実は裏では〇〇なんじゃと疑うようにドラマを観るようになってしまいましたが(笑)その予想を超えた出来事も色々起こったので面白かったです。
父と子の確執も他のドラマ以上に描かれていて、そのへんも見応えありました。
ネタバレあり感想【序盤】顔も知らぬまま恋は始まり…
※ネタバレしてます。ご注意ください。
出だしのエピソードでは、皇太子・蕭定権(しょうていけん)は無実なのに陛下に謝って終わるのかと思いきや、斉王をやり込めたのには驚きました。実は証拠もなく(女官も口がきけないし巻物も白紙で)それでも斉王が自分が犯人だと観念する展開に持っていったので蕭定権は賢いなと感心しました。突き落とされた女官が犯人を明かさないのは不思議でしたが、犯人は実の娘だったんですね。娘をかばって母は死罪に…。この展開は驚いたし泣けました。
試験のエピソードでは、蕭定権がわざと男にテストを盗ませていたのは驚きました。でもそれがまたどんでん返しで皆が証言をひるがえして蕭定権をはめたり…。蕭定権はまだまだ青かったですね。周りが腹黒すぎるのもありましたが。「皇太子の弱点は過去に多くを失ったこと(母や妹)。ゆえに手元にあるものを守ろうと固執しすぎる。だが固執するほど手から離れていく。そして失ったときほど狼狽し醜い姿になる」貴妃がこう言っていましたが、本当にその通りでした。
陸文昔(りくぶんせき)が斉王の側室になると知り、文昔と婚姻したい蕭定権は色々画策するが失敗し…。師匠・蘆世瑜が蕭定権の罪をかぶり自死したのは辛かったです。良い師匠でした…。蕭定権が画策しても返り討ちにあう姿は可哀想というより観ていてしんどくなりました。
蕭定権と文昔が顔を知らないまま愛が芽生えるのは新鮮な設定でした。エピソードの積み重ねでそれが自然な流れだったのも良かったです。でも文昔が遠くの別人の元へ嫁いでしまったと蕭定権は信じて、諦める展開になったのは切なかったです。
文昔の父と兄が罪を着せられてしまい、処刑を防ぐため、蕭定権は張尚書の長女と婚姻することに。文昔は父と兄を救うため皇太子妃の女官・顧内人として宮中にもぐりこみましたが、いつ蕭定権が文昔だと気づくかドキドキしました。でもなかなか気づかないものですね。(顔知らないから無理もないけど)。蕭定権と皇太子妃の共寝のとき、文昔はすぐ外で待機しなければいけない立場なのは、何とも言えない気分になりました。(可哀想だけど仕方ないというか…)。
【中盤】展開は何度もひっくり返り…
皇太子妃がとても良い人だったのは意外でした。(宮廷時代劇だし嫌な女という設定かと思っていた)。蕭定権が皇太子妃をきちんと大切にし愛する姿が理解できました。
文昔の父と兄は釈放されるはずだったのに皇太子妃の父・張尚書は偽の書類を使って無実の二人を死罪に…。こいつ!!!!信じられない!!!!(怒)。私は憤怒。私でさえこんな感情がわいたので文昔はどれほどショックだったか…(涙)。死刑を執行した張尚書に対して怒る蕭定権に皇太子妃は父が死んだら生きていけないとか自分が代わりに死ぬとか言い出したのはちょっと腹立ちました。こんな父親必要?と。でも張尚書って子供には愛情を持って育てていたようで…。だから皇太子妃も息子・張紹筠(ちょうしょういん)も父親と違って善人なんだと思いました。
文昔は張尚書に復讐することを決意。私は応援の気持ちでいっぱいになりました。蕭定権が張尚書に罪を与えないことにしたのは文昔同様私もショックでした。皇太子妃は子供も出来て父は罪を見逃してもらえて幸せそうなのに…文昔の痩せて薄幸そうな姿は可哀想だったし悲しくなりました。
宴で皇太子妃はヒ素を飲まされ死んでしまい、犯人の疑いをかけられた文昔。でも黒幕は貴妃だったと明らかになったのに、王妃を罰すれば斉王にまで類が及び、斉王に何かあれば東宮にも影響があると、陛下が文昔がヒ素を盛ったことにしたのは酷かったです(怒)。三司をつかって皇太子妃の死の捜査をするため蕭定権が「私が印をおせば捜査が始まる」と訴え、蕭定権の望み通りに陛下は貴妃を宗正寺に送りましたが、実は箱の中に印は入っていなかったとは。ハッタリで陛下に立ち向かったんですね。勝てそうで負けそうな蕭定権なので、このへん展開が読めなくて面白かったです。
でもその後、ヒ素を入れた菓子を運んだ女官が文昔に指示されたと言い出し…また展開がひっくり返ったのは驚きました。陛下も文昔が無実って分かってるのに斬首せよと命じるのは酷すぎでした。(蕭定権が杖刑を受け、文昔の命は助かりましたが…)。陛下が悪人の貴妃を皇后に封じたのもありえない(怒)と腹が立ちました。貴妃に妻や子を殺された蕭定権が不公平だと泣く気持ちすごく分かりました…(泣)。
【終盤】報いの果てに…
蕭定権が文昔と自分を革帯で結び、離れないようにしたエピソードは面白かったです。蕭定権はちょっと子供っぽいところがありましたね(笑)。「支え合えず忘れぬことも出来ぬ。ならば共に沈んでしまおう」こう言った蕭定権は後ろ向きで悲しくなりました。こう言うのが理解できるくらい沢山の苦痛と苦難があった二人なので仕方ないですが…。二人で雀を捕まえようとしたり、口づけしたり、良い雰囲気になったのに長くは続かなかったのが残念でした。
蕭定権が文昔に書かせた中書令(張尚書)への親書はショックでした。中書令が文昔の父と兄にした酷いことを追求しないなんて…。文昔の蕭定権への憎悪の視線が凄かったですね。この後、文昔は中書令に嘘の言づけを言い、親書の意味合いを変え、印を押し、殿下を陥れたという冤罪を子供をだしに認めさせ…。捨て身になって冷静に復讐を進めていて凄いなと思いました。蕭定権が顧内人が陸文昔だと気づく展開もゾクゾクしました。
斉王は陛下を馬鹿にする歌を拡散させたことを認め、陛下は蕭定権を疑って散々罰を与えてきたことを悔いたエピソードも感慨深かったです。一緒に茶を飲もうと涙ぐんで蕭定権に言う陛下の姿、良かったです。【父としては申し訳なく思うけど皇帝としては何とも思わない。忠と孝は両立できない。皇帝になれば分かる】ということを言っていて少しモヤモヤしてしまいましたが…。蕭定権は斉王に対してきちんとした処罰をしてくれないなら自分は廃太子になると訴え、陛下が蕭定権の望む通りの処罰をしてくれたのはホッとしました。
中書令を道連れに死を覚悟していた文昔でしたが、蕭定権が【娘を守る思いで彼女を守れ】と中書令に証言を覆せと指示。顧内人が陸文昔だと知った中書令が「報い」だときちんと証言を覆してくれて良かったです。(自分の子を助ける為もあったけど)。結果、中書令は変わらず死罪、文昔は死罪ではなく流刑に。張紹筠は充軍。蕭定権は本当に尽力してくれました。陛下が文昔の待遇を好きにしていいと言ってくれ、流刑といいつつ宮殿で過ごすことになるのは意外でした。ラストは蕭定権が慕っていた伯父は戦いで亡くなってしまったけど、予想外におだやかで幸せな終わり方だと思いました。
その他。
悪人でも子供に対しては愛情がすごくあって、憎らしいキャラでも子供と別れる姿は泣けるなと思いました。(中書令だったり貴妃だったり)。
蕭定権と文昔は他のドラマではなかなか見ないほど拷問を受けまくり、精神と身体ともに辛い目にあったなと思いました。お互い許せないことをしたりされたりしつつも、愛は持続していて、ラストの口づけシーンを見たときは色々あったけど本当に良かった…と心底安堵しました。
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