【SF界のノーベル文学賞】ヒューゴー賞をアジア圏作品として初受賞したというベストセラー小説のドラマ化です。
三体(2023 全30話 原題:三体)
(キャスト)チャン・ルーイー、ユー・ホーウェイ、チェン・ジン、ワン・ズーウェン、リン・ヨンジエン、リー・シャオラン、チャン・ジュンニン、他
《三体》あらすじ
2007年夏。物理学者・楊冬(ヤン・ドン)は自宅の寝室で睡眠薬を飲んで自殺する。
ある日、研究者である汪淼(ワン・ミャオ)のもとに公安局の史強(シー・チアン)隊長と他の警官が訪れる。「科学境界(フロンティア)の会員と接触したことがあるよな?」史強は汪淼に問う。「科学境界は国際的な影響力のある学術組織で会員は皆、著名な学者だ。合法的な組織に接触するなと?」「誰も非合法なんて言ってない。接触するなとも言ってないだろ」「私的なことに応える義務はない」汪淼は回答を拒む。
他の警官が「午後、重要な会議があり出席をお願いに来たのです」と話し出す。汪淼が忙しいと断ると「すでに調整済みです」と汪淼の予定を変更していた。汪淼は会議に出席せざるを得なくなる。
アジア防衛理事会の会議にて。そこで【各国のエリート科学者の自殺者が急増している】という話がされる。自殺者リストを渡された汪淼は「何か気づいたことは?」と問われる。「リストの人物は全員物理学では最前線の…」汪淼は最後にあった楊冬の名を見て言葉を止める。
このリストの者は皆この二か月足らずで自殺していると聞かされ「いつのことですか?」と汪淼は問う。「知りたいのは最後に死んだ楊冬のことだろ?一番最近の死者で一昨日の夜、睡眠薬を過剰摂取した」史強が答える。「どうして自殺を?」汪淼が問うと議長は答える。「一点確実なのは彼らの自殺の理由がほぼ同じと言うことだ。自殺した科学者の大半は遺書で疑義を呈している。【人類の物理学は存在しない】と」。
史強は前列に座っていた楊冬の恋人・丁儀(ティン・イー)博士に「楊冬の遺書を見せてやってくれ」と頼み、汪淼は遺書を渡される。
【全てが同じ結果を示している。過去に物理学は存在せず将来も存在しない。無責任だと分かっている。でも他に道がない】遺書にはこう書かれていた。
「今日はある組織について議論しよう。科学境界だ。把握している限りでは自殺した科学者のほとんどが関わりがあった」議長は言う。丁儀はこの組織の説明を求められ話し出す。「学界では有名な組織です。彼らによれば前世紀の後半から物理学は簡潔さと力を失った。理論モデルも複雑化し曖昧だ。そこで彼らは科学の限界を検証し自然を理解する精度の極点を見出そうとしている。科学の限界となる境界線だ」会議に参加している皆は聞き入るが…。
ネタバレなし感想
設定、展開、映像、それぞれが想像を超えるレベルの高さで圧倒されました。
科学的な説明や宇宙の話など、そもそものことがよく分からない私には難しく感じたりもしましたが、予想できない展開や謎など興味深く観ることが出来ました。
私がもっと内容を理解できる脳を持っていたら、もっとこのドラマを楽しめたんじゃないかなと思いました。(それでも十分面白かったですが)。
ネタバレあり感想
※ネタバレしてます。ご注意ください。
出だし、科学的な話(科学の限界がどうのとか)や射撃手と農業主の話など、今まで観たことのない世界観だったのでキョトンとしてしまいました。汪淼の目にカウントダウンが映し出されたときは謎すぎて原因が想像できませんでしたが、まさか最終回の伏線になっていたとは!
ゲーム【三体】が登場したときはその映像に釘付けでした。あの世界観はすごかったですね。このゲーム内の出来事が現実とどう関係あるのか、このゲームの意味などよく分かりませんでしたが、最終回で理解できてスッキリしました。科学境界が今ある情報から推測して作り上げた【三体世界】だったんですね。【応答するな】という三体人の返信の意味も分かり、納得しました。
実は私は序盤、このドラマはSF的要素をふんだんに出しているけど、科学境界による科学者たちへの殺人(自害へ追いつめたり)の物語なのかな?と思ったりしてました。(目に映るカウントダウンはハテナ?だったけど…)。でも、それをはるかに超えたもの(地球外生命体がいて、それらが応答してきて、三体文明があって…)があったのには驚きました。紅岸での葉文潔の宇宙に向けた必死の送信エピソードは手に汗を握りました。でも自分の返信が発見され、人類に三体人を阻止されないようにするために、雷政治委員だけでなく夫まで崖から落として殺すなんて…!!これには唖然でした。葉文潔、マイク・エヴァンス、科学境界の一部の面々の行き過ぎた【信仰心】は恐ろしいと思いました。
古筝作戦の映像は凄かったですね。うわー…(怖)と思わず声に出してしまいました。ゲーム【三体】の中で知った三体文明の科学力は凄すぎて圧倒されました。とはいえ地球人を恐れて監視もしていたんですね。三体人が地球で会議に出席していた皆それぞれの目に【お前たちは虫けらだ】という文字を投影させたのは驚き…。自暴自棄になった汪淼たちは最後、史強にバッタが飛び交う草原に連れていかれましたが、このラストシーンとても良かったです。
三体人と地球人の差は、バッタと人間の差より小さい。古来より虫は存在していて人間は色々な手で駆除してきたが、虫は滅んでいない。…話し続ける史強の言葉に頷きました。「人類を虫けら扱いする三体人はある事実を忘れてるらしい。虫けらは今まで一度も負けたことがないんだ」史強の言葉に感動しました。鼻から血が流れていたけど…長生きしてほしいです。
本当に壮大で予想もつかないドラマでした。映像も素晴らしくて、こんなレベルの高いドラマをつくれる中国って凄いなと改めて思わされました。
キャスト紹介
汪淼:チャン・ルーイー
1980年6月7日北京生まれ O型 身長182cm 体重68kg 中央戯劇学院、北京大学卒業
(出演ドラマ)正当防卫、九州·天空城(九州天空城~星流花の姫と2人の王~)(映画)妖猫传(空海-KU-KAI-美しき王妃の謎)、他
史強:ユー・ホーウェイ
1971年5月4日遼寧省撫順市東州区生まれ A型 身長179cm 体重70kg 上海戯劇学院卒業
(出演ドラマ)理想之城、上阳赋(上陽賦~運命の王妃~)、他
潘寒:チャン・ジュンニン
1985年3月22日江蘇省南京市鼓楼区生まれ O型 身長182cm 体重68kg 上海戯劇学院卒業
(出演ドラマ)相思令、凤唳九天(黄泉がえりの皇妃〜鳳凰の涙〜)、浪花一朵朵(キミとスプラッシュKiss~はじける気持ち~)、择天记(擇天記-宿命の美少年-)、五星大饭店(五星大飯店〜Five Star Hotel〜)、你和我的倾城时光(愛を抱きしめて-ドレスに恋したシンデレラ)、他
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