男くさい骨太な武挟ドラマです。金庸の最高傑作を映像化!
天龍八部 レジェンド・オブ・デスティニー(2021 全50話 原題:天龙八部)
(キャスト)トニー・ヤン、バイ・シュー、ジャン・ティエンヤン、ジャニス・マン、スー・チン、ホー・ホンシャン、ガオ・タイユー、他
《天龍八部》あらすじ
宋の領土を狙う遼の皇帝・耶律洪基(やりつこうき)は両国間の停戦条約を無視し、宋に攻め入る時期をうかがっていた。遼軍はたびたび宋の民を襲い、殺戮や略奪など非道の限りを尽くした。武林の各門派や江湖の豪傑たちは義侠心から立ち上がる。
丐幇(かいほう)の喬峯(きょう・ほう)は仲間が手に入れた密書を見て、国境が危ないと知る。武林大会に出席するため少林寺にいる丐幇幇主・汪剣通(おう・けんつう)の元へ知らせに急ぐ。
少林寺の僧・虚竹(こちく)は喬峯を寺内に案内する。【遼の徴兵は寝耳に水だが、密書によると楚王は3万人も徴兵した。このままでは遼は中原征服に乗り出すぞ】少林寺の高僧や汪幇主は密書を見たあと話し出す。「わしが大理国の段施主に文を送り防備を固めよと提言する。国境の様子も探らねば」玄慈方丈が言うと、汪幇主は「各地にいる丐幇の弟子にお任せを」と返す。
武林大会では姑蘇慕容家の慕容復(ぼよう・ふく)が強すぎて【相手がおらぬ。今年の大会は退屈だ】と周りの観客は愚痴る。すると「俺が」と喬峯が現れる。「俺は丐幇の喬峯。手合わせ願いたい」すると会場の皆は「南の慕容、北の喬峯だ」とざわめく。 二人は手合わせを始めるが…。
ネタバレなし感想
武挟小説の帝王・金庸の最高傑作の映像化というCMを見て興味を持ってこのドラマを観ました。最初は私好みではなさそうだと思ったんですが、期待以上に面白くて楽しめました。特に最終回はすごく良かったです。【人生】についての言葉がたくさん散りばめられていて、心に刺さりました。
メイン男性陣3人の数奇な運命がそれぞれ見応えありました。映像的には脇役やチョイ役やモブまで、物凄い数の登場人物が画面にあふれ、壮大で臨場感がありました。
私の場合、登場人物(おじさんキャラ)の名前や立場など忘れてしまいやすいので(笑)少し脳内混乱してしまった部分がありましたが、私くらいの理解度でも十分面白かったです。
ネタバレあり感想
※ネタバレしてます。ご注意ください。
喬峯(きょう・ほう)関連の感想
トニー・ヤン演じる喬峯がとても魅力的でした。トニー・ヤンって輪郭や雰囲気が男らしくて武挟ものが凄く似合う俳優さんですね。
喬峯は最終回が印象的すぎました。(それまでも良いシーンは色々あったけど)。耶律洪基の宋侵攻を止めるため平和のため、自分の命をもって耶律洪基に侵攻を思いとどまらせるなんて…。喬峯がここまでしても耶律洪基が宋侵攻をしないと約束してくれなかったらどうしようとハラハラしました。約束してくれたあと、安心して喬峯は死んでいき…悲しかったけどホッとしました。
喬峯は本当に男らしいキャラでした。丐幇の副幇主が殺され、喬峯が犯人と疑われたのに、謀反を起こそうとしていた四大長老の処罰を喬峯が【寛容を望めば自らの血で罪を洗い流せる】と自分の体に剣を刺して罪を消していき…。このエピソードは感動しました。でもこのすぐあとに喬峯が敵の子(契丹人)だったと明らかになっていき、可哀想になりました。
喬峯が阿朱(阿朱の父に化けた)を殺してしまったのも悲しい展開でした。しかも康敏の策略のせいで勘違いさせられ、阿朱の父は仇ではなかったという…。 康敏が(美しい)自分を無視したという理由で喬峯を恨むのは怖かったです。頭を教えてほしければキスしろと迫ったり。
大悪人は喬峯の生きていた父・簫遠山(しょうえんざん)とは。妻を殺された恨みで色々していたわけですが、宋人だからといって喬峯を育ててくれていた代わりの両親まで殺すなんて。自分の父がこんな大悪人だったとは…喬峯の人生は本当に辛いことが多かったですね。でも段誉と虚竹と義兄弟になれたことは最高の喜びで、色々な苦がそれぞれ起きたけど、揺るぎ無い友情が残ったのは素敵でした。
阿紫(あし)の狂気は無邪気さもあるのが余計に怖かったです。游坦之(ゆうたんし)をおもちゃにして鉄仮面かぶせたり、目をもらったのに酷い扱いのままだったり…。
段誉(だん・よ)関連の感想
最初、この武挟な世界観に入っていけるかと不安になりながら観ていたんですが、まず、段誉が私の興味をひきつけてくれました。口が達者でお気楽な若君だけど、知り合う女子をかばって守って男らしくもあり。彼の恋愛関係は色々と面白かったです。
結婚の約束までした婉清(えんせい)が実の妹だったのにはびっくり!!その後、婉清と部屋に閉じ込められ、陰陽和合散を食べ物に仕込まれ、夫婦の営みを行い陰陽を調和せねば死ぬという展開に。何なのそれ!!!!(笑)。私はこのエピソードあたりから特にこのドラマを面白く感じました(笑)。
鐘霊(しょうれい)まで実の妹だったっていうのには唖然。父・段正淳(だん・せいじゅん)とんでもないなって思ってたら…語嫣(ごえん)まで実の妹だったっていう展開に。これは予想できず仰天しました。
終盤。段正淳の女たちが慕容復(ぼよう・ふく)に殺されていき、殺された女たちのことを「同じだけ愛した」と段正淳は言って自害し…。このあたりの展開壮絶でしたね。段誉の母は【旦那に裏切られたと思い、母も裏切った】と、とんでもない告白をして後を追うという…。実は段誉は段正淳の子ではなかったと明らかになったときは「えーーーーーー!!!???」と声を出して驚いてしまいました。実の父は仮面の男・段延慶で…。でも語嫣と実の兄妹ではなかったってことなので、それは本当に良かったと思いました。これらのエピソードは壮絶だったし予想外だったし、段誉はショックを受けていて可哀想だったけど、私は少しだけギャグかと思ってしまうくらい滑稽にも見えました。(段正淳たち何してんのと)。
ラスト。語嫣は慕容復に母を殺され、狂ってしまった彼に心を痛め、出家しようとしていたときに段誉が現れ、無常と書かれた寺の扉から二人は手をつないで外界へ…。このシーン感動しました。段誉はやっと想い人と結ばれるのかな。幸せになってほしいです。
虚竹(こちく)関連の感想
虚竹の前で行われた童姥(どうぼ)と師妹(師叔)のおどろおどろしい女の情愛の戦いが絵的にも良かったです。虚竹が淫戒を破ってしまうエピソードも人間らしいなと思ったし、ドキドキしました(笑)。
少林寺の僧の方丈が虚竹の父だったとは。お偉いさんなのに普通に淫戒破ってる(笑)。まぁこれも人間らしいし【こんなん良くありそう】と思いました(笑)。虚竹も方丈も杖刑を受け、方丈は老齢のため罰のあと死んでしまい、母も自害。一家3人が初めてそろった日に壮絶な展開でした。
少林寺の掃除をしていた老僧が物凄く強くて驚きました。簫遠山や慕容博を改心させ、悟らせて…。ただ者ではない老僧だったけど、少林寺では地位とかないのかな?
少林寺が舞台になっていたり僧が登場人物なのもあって、ドラマ中には仏教的教えみたいなものが良く出てきましたね。それが武挟の物語にとても合っていると思いました。
最終回の【まさしく世は無常なり。すべてのことが修行。起きるべきことは起き、失うものは失うのだ。小さな喜びも正義も決して疎かにせず精進する。求めても得られぬならすべてを縁と考え受け入れよう。生と死も出会いと別れも愛と恨みも喜怒哀楽も煩悩と無常のなせる業なのか。真の充足を得る道はただ一つ、それは一生ひたすら好きなことをする、それだけだ】…これらの言葉には考えさせられ、ハッとさせられました。金庸原作の他の武挟ドラマも観てみたくなりました。
キャスト紹介
喬峯:トニー・ヤン
段誉:バイ・シュー
1993年12月28日北京市海淀区生まれ 身長179cm 上海戯劇学院卒業
(出演ドラマ)雪鹰领主、少年歌行、我叫刘金凤(劉皇后の仰せのままに)、山河月明(永楽帝~大明天下の輝き~)、与君歌、琉璃、听雪楼、他
2015年才能育成番組《燃烧吧少年》出演。2016年ドラマ《超星星学园》出演。2017年ドラマ《我女朋友的男朋友》で主役。この作品で金骨朵网絡影視盛典【ネットドラマ年間潜在新人賞】獲得。
虚竹:ジャン・ティエンヤン
1987年11月2日河北省唐山市生まれ O型 身長184cm 体重72kg 中央戯劇学院表演科卒業
(出演ドラマ)沉香如屑、星汉灿烂(星漢燦爛)、且试天下(黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~)、山河月明(永楽帝~大明天下の輝き~)、媚者无疆(晩媚と影~紅きロマンス~)、那年花开月正圆(月に咲く花の如く)、锦绣未央(王女未央)、他
幼い頃から演技が好きで俳優になるのが夢だったそう。2009年映画《庭院重重》で芸能界入り。
慕容復:ガオ・タイユー
1991年7月12日山東省煙台市萊陽市生まれ A型 身長187cm 体重72kg 山東芸術学院卒業
(出演ドラマ)斗罗大陆(斗羅大陸)、无心法师Ⅱ(陰陽法師-無心2)、相爱穿梭千年(皇后的男人)、他
2012年オーディション番組《向上吧,少年》で全国決勝まで進む。同年【新小虎隊】オーディションに参加し全国10強に入り、台湾でのレッスンに参加。
2013年オーディション番組《快乐男声》に参加し北京市大会で50位内に入り、芸能会社と契約。同年、映画《黄飞鸿之英雄有梦》出演。
コメント